相続登記にかかる費用と内訳
相続登記にかかる費用は主に書類の取得費、登録免許税、司法書士費用から成ります。登録免許税は相続財産の評価額に基づき金額が決まるため、財産額が大きいほど高額になります。これらを踏まえつつ全体にかかる費用は、相続する財産の内容や手続きの複雑さによって異なります。
次は以下の3つの費用について詳しく解説します。
- 必要書類の取得費
- 登録免許税
- 司法書士報酬
必要書類の取得費
相続登記に必要な書類の取得費用は各書類ごとに異なり、被相続人の戸籍や住民票の除票などには、それぞれ手数料がかかります。さらに、遺産分割がある場合には相続人全員の印鑑登録証明書も取得しなければなりません。詳しい金額は下記をご参照ください。
相続登記の必要書類 | 書類の取得費 |
---|---|
戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) | 450円 |
除籍謄本(除籍全部事項証明書) | 750円 |
改製原戸籍謄本 | |
住民票の除票 | 200円~400円 |
戸籍の附票 | |
住民票 | |
固定資産税評価証明書 | 200円~450円 |
印鑑登録証明書 | |
不動産全部事項証明書 | 600円 |
一部の書類は取得する自治体によって金額が異なります。また必要枚数の合計額も、相続内容によって変わります。いずれにせよ、相続人の数、不動産の数、法務局の管轄の数などで左右されますが、おおむね1万~2万程度用意しておくと安心でしょう。
登録免許税
相続登記をはじめとする不動産登記は申請の際、登録免許税という税金を国に納めなければいけません。登録免許税の算出の仕方を説明します。
まず、課税価格が必要になります。課税価格とは固定資産課税明細書または固定資産評価証明書に記載された評価額です。固定資産課税明細書は毎年4月から6月に自治体から送られ、見つからない場合は自治体に請求して固定資産評価証明書を取得できます。課税価格は1000円以下の端数を切り捨てて算出され、その後、相続登記に対する税率0.4%を掛け、100円以下の端数を切り捨てた額が登録免許税となります。
司法書士報酬
もし、相続登記を司法書士に依頼する場合、司法書士報酬が必要です。報酬額は、相続財産の規模や相続人の人数、不動産の件数などによって異なります。一般的には、数万円から数十万円の範囲で、手続きの複雑さや対応する業務内容によって金額が変動します。報酬は、登記手続きの代行だけでなく、必要書類の収集や遺産分割協議書の作成なども含まれることがあります。
相続登記の費用相場
相続登記の費用相場は、相続の内容によって異なります。法定相続人の数や不動産の件数によっても費用に差がでます。次に相続登記の費用が高くなるケースと安くなるケースをご紹介します。
相続登記の費用が高くなりやすいケース
- 都市圏などの評価額の高い不動産を相続する
- 様々な事情で法定相続人の数が多い
- 前回の相続登記が終わらず、数次相続が発生
相続登記の費用が安くなりやすいケース
- 評価額の低い不動産を相続する
- 法定相続人の数が3人から4人程度に留まる
- 前回までの登記手続が済んでおり、数次相続にはならない
司法書士などの専門家に依頼する場合は、別途報酬額が加算されますが、詳しくは後述で紹介します。方法別に費用相場は大きく分けて次の2つです。
自分で手続きをする場合
自分で手続きをする場合は、次の3種類の相続費用が必要です。例えば、相続した不動産の評価額が1000万円だった場合、以下ような金額になり、合計で5万~6万ほどとなります。
費用の種類 | 金額 |
---|---|
戸籍や住民票などの必要書類 | 1万~2万円 |
登記申請時の税金 | 4万円 |
交通費や郵便代など | 1000円ほど |
司法書士に依頼する場合
司法書士に依頼する場合、自分で手続きを行う費用に加えて、司法書士報酬が必要になります。現在、司法書士報酬は自由化されており、相場は3万円~12万円となっています。この報酬の幅が生じる理由は、各事務所が独自の報酬規程を設けているためです。報酬額の決定基準として、多くの事務所は以下の要素を考慮しています。
- 不動産および管轄の数
- 法定相続人の人数
- 不動産の評価額
- 書類取得、作成の有無
- 依頼者、関係者の居所
- 特殊な状況の有無
不動産の数が多く、法務局の管轄が複数にまたがる場合や、法定相続人が多い場合は、手間がかかり、その分報酬が増額されることが一般的です。
また、不動産の評価額に基づいて報酬額を決定する事務所もあります。司法書士に戸籍などの必要書類収集を依頼する場合、実費のほかに1通あたり2000円~3000円の報酬が発生することが多いです。さらに、遺産分割協議書や相続関係説明図の作成費用も別途請求されることがあり、1通あたり1万~数万円が相場です。依頼者や相続人が遠方に住んでいる場合や、相続登記が何代にも渡って放置されている場合も、追加費用が発生することがあります。
相続登記費用を安くできるポイント

相続登記費用を抑えるには、自分で手続きを行い司法書士報酬を省き、必要書類を自分で揃えて書類取得手数料を削減することが効果的です。また、登記内容がシンプルであれば、費用を低く抑えやすくなります。状況に応じて工夫することで、費用節約が可能です。
自分で相続登記の手続きをする
相続登記を司法書士に依頼すると、報酬が費用の大部分を占めます。自分で手続きを進めれば大幅に費用を抑えられますが、知識や時間が不足していると、補正や再作成が必要となり、かえって費用や時間がかかることもあります。手続きの流れを事前に司法書士に相談したり、遺産分割協議書作成だけ自分で行うなど、無理のない範囲で進めることが大切です。
オンライン申請をする
相続登記には、法務局での郵送や窓口申請に加え、オンライン申請も可能です。オンライン申請には、パソコンとインターネット環境、ソフトのインストール、電子証明書が必要ですが、交通費や郵便料金を節約でき、時間も短縮できます。しかし、相続登記はほかの登記と異なり、オンラインで完結しません。戸籍関係書類が電子交付に対応していないため、申請とは別に紙の原本を提出する必要があります。
登録免許税の軽減措置を利用する
令和6年4月1日から始まった相続登記義務化に伴って、次の2種類の登録免許税の免税措置が講じられました。ただし、いずれも令和7年3月31日までの限定措置であることにご注意ください。
- 数次相続が発生している登記(土地に関してのみ一次相続分の登録免許税が免税)
- 土地の評価額が100万円以下
不動産の登記以外の費用を抑える
相続には、相続登記以外にも様々な手続きがあります。それらの手続きも踏まえて、費用の節約になる方法を解説します。
書類の原本還付手続きをする
相続登記手続きで使用した戸籍などの必要書類は、法務局で原本還付の手続きを行うことで、登記完了後に返却してもらえます。返却された書類は、相続税の申告や金融機関口座の解約といった、ほかの相続手続きにも利用できるため、追加で戸籍を取得する手間と費用を節約できます。
法定相続情報制度を使う
法務局に申請することで、法定相続情報一覧図の写しを取得できます。申請には戸籍などの必要書類の提出が必要ですが、この写しは相続登記の際に戸籍などの必要書類の代わりとして使用できます。また、金融機関によって扱いは異なりますが、法定相続情報一覧図の写しを必要書類の代わりとして認める場合もあります。必要な通数分を無料で取得できるため、何通も戸籍を取得する手間が省け、費用節減に役立ちます。
費用節約でよくある質問
相続登記の費用を抑えたい方のために、手続きの方法や注意点、費用削減のポイントをわかりやすく解説します。効率的に手続きを進める知識を得て、無理なく確実に相続登記を完了しましょう。
相続登記は義務なのか?
相続登記は令和6年4月1日から義務化され、相続後3年以内に登記しないと過料が科されます。以前は相続登記が任意で、放置されるケースも多く、「所有者不明土地」や「管理放棄された空き家」が増加していました。これが法改正の背景となり、登記を行わず費用を節約することは不可能になりました。
登記手続きを司法書士以外の民間の会社に依頼した場合
最近、「スマホに入力するだけで簡単・格安に相続登記を代行」と宣伝する業者が登場しています。登記費用も数万円程度と、司法書士への依頼に比べて非常に安価です。
しかし、注意が必要です。これらの業者は民間企業であり、司法書士のような資格を持つ専門家ではありません。「代行」とはいえ、実際には本人申請となり、最終的な責任は依頼者自身が負うことになります。そのため、法務局から補正(修正)の連絡があった場合も、対応するのは依頼者本人です。費用の安さは魅力的に映るかもしれませんが、手続きの確実性や将来的なリスクを考慮すると、専門知識を持つ司法書士への依頼を検討するほうが安心でしょう。
相続登記の費用は誰が支払うのか?
相続登記の費用を負担する人については、法律で明確に定められているわけではありません。一般的には、遺産分割協議の結果、不動産を取得する方が費用を支払うケースが多いようです。最終的には、相続人同士で話し合いのうえで決定するのが良いでしょう。
相続のときには不動産取得税は課税されないのか?
相続登記によって不動産を取得した場合、不動産取得税は課税されません。これは、相続による不動産の取得が非課税対象となるためです。ただし、登録免許税と同様に相続税も発生しますので、十分に注意しましょう
相続登記の費用は、相続状況にあわせて適切に選ぼう
相続登記の費用は、できる限り抑えたいと考える方も多いでしょう。無駄を省き、さまざまな節約方法を活用することは賢明です。もし、相続内容が比較的シンプルで、ご自身で対応可能であれば、司法書士に依頼して報酬を支払う必要はないかもしれません。
しかし、相続の内容は人それぞれです。例えば、数次相続が発生していたり、不動産の件数が多かったりする場合など、複雑で手間のかかるケースもあります。そのような場合には、登記の専門家である司法書士の力を借りることが有効な選択肢となるでしょう。
相続登記でお困りの際は、ぜひ司法書士にご相談ください。プロのサポートを受けることで、スムーズかつ確実に手続きを進めることができます。